流通再生戦略
 
第2章 小売業は人−人材育成こそ再生の条件
 
内敵と外敵
 
  トップのリーダーシップのみが再生の条件ではない。従業員の心の中、会社組織にさまざまな敵がいる。その敵と毎日が戦いである。忍び寄ってくる敵には「内敵」「外敵」がある。

内敵とは、内部に介在する敵。自分自身の内敵は、惰性とか、怠惰とか、怒りとか、嫉妬とか、優柔不断とか。それが原因で人生に失敗する。組織なら、知識不足、情報不足、技術不足、意思決定優柔不断、戦略思考不足、伝達技能不足、やり遂げるという硬い意識不足、他人の意見を受け入れようとしない柔軟性不足などがあげられる。それが原因で、ムリやムダ、ムラが多く、同業に比べて、著しく生産性が劣る。つまり、利益が思うように上がらない。

外敵とは、不利・劣悪な外部環境である。自分がしっかりしていて、成功・失敗、勝ち・負けが外部環境によって決定される。すぐ近くに強力なライバルが出現したら自分の力だけではどうにもならない。経済不況で失業者が増えたり、近隣の工場が閉鎖されたり、消費者の収入が減少したり、新しい技術(テクノロジー)による既存技術の陳腐化が起こったりすると、順風万帆であった業績が衰退し始める。プラスからマイナスへと世界が変わる。

この両方の敵への対応策が必要になる。内的には己の精神力を鍛えなくてはならない。内敵は、自分自身の鍛錬不足が起因している。他人と比較する前に、自分自身はどのような人生目標を持ち、それに向かってどのような努力をしているかを自省してみればよい。その鍛錬があってこそ、外敵に対する抵抗力が生まれる。組織も同じこと。一本筋の通った従業員訓練、日頃のコミュニケーションが組織の鍛錬を生む。

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