カナ 用語 解説
ジエ

ジェネリック商品

【generic brand】

ジェネリックとは、商標登録によって保護されていないということで、ノーブランド商品と同義語。ブランド戦略は最大のマーケティング戦略であり、昨今では水や氷にまでブランドをつけて成功している。一方、パッケージングや広告費を抑えることによって、消費者に、標準的な品質の商品を低価格で提供するというジェネリック商品も、ヨーロッパやアメリカのスーパーでは予想以上に好成績をあげており、生活必需品の領域で、確固とした位置を占めている。
ジギ 事業所統計調査 わが国の全事業所を対象にして産業別、地域別、規模別などの分布を明らかにすることを目的とした総理府統計局の調査。個人経営の農林・水産業を除く、メーカー、卸・小売業、サービス業など、全国のすべての事業所を対象として、経営組織、事業の種類、従業者数、開設時期、業態、場所などを調査している。特定の調査が少ないサービス業については、重要資料である。実施は3年ごと。事業所を対象とした販売活動にとっては、マーケットの動向を知る上で貴重な資料となり、また事業機会の流れをつかむためにも参考となる資料である。
 

事業部制

【divisional system】

製品の製造ラインを軸に、ある特定の製品群の製造から販売までを独立した事業体として組織化したものであり、一事業部が1つの企業体とほぼ同様な機能と権限を持っている。巨大化した組織の問題を解決する方法として誕生した。1917年のデュポン、1929年のGM(ゼネラル・モーターズ)、同年スタンダード石油、シアーズ・ローバックが導入した。A.D.チャンドラーによって多数事業部性として理論化された。この組織の目的は、無用な組織の肥大化をさけ、中間階層を少なくすることによって命令伝達の経路の短縮化をはかり、コミュニケーションの歪曲を排除することである。わが国では高度成長期にこの事業部制を採用する企業が目立ったが、事業部間の市場の重複などさまざまな問題点も発生してきている。シアーズ・ローバックは事業部性、本社集中性を何度も繰り返している。
ジケ

時系列比較

【time-series comparison】

時間の経過順にデータを並べトレンド(傾向)を調べる方法。市場規模の変化、シェアの変動、相場の動きなどを比較することによって、市場環境の診断や将来予測に役立てる。昨年と今年の比較でも時系列比較として価値があるが、できるだけ長期にわたって比較することが望ましい。
ジコ 自己申告制度 企業内において、従業員自身に、自己の職務の遂行状況、現在の仕事に対する適性などを判断させ、定期的に申告させる人事管理政策のひとつ。人事担当部門では、その申告をもとに従業員の個性・能力を的確につかむことができ、適材適所の人員配置が可能となる。また従業員自身の企業活動への参加・勤労意欲を高めるという効果も期待されている。この制度は戦後多くの企業に採用されたが、申告通りの配置ができない場合、かえって従業員の不満やモラルの低下をもたらす危険があるなど、必ずしも十分に機能していないのが現状である。
ジゼ 事前協議 計画、出店などを正式に発表する前に関係者と事前に協議し、大枠の了解をとっておくことで、根まわしの公式版とでもいえる。計画が、周辺地域の生活環境や既存産業に大きな影響を与えると予想されるものについては、法律や地方自治体の行政要綱によって、事前に利害関係を調整するなり、計画の変更を求めるなどの行政指導を行うように定められている。販売活動では、「大店法」によって、商業活動調整協議会の正式のテーブルに乗る前に、当事者の間で事前協議を行うことになっている。
ジツ

実査

【field survey】

狭義には調査情報を収集するために、調査員が現地に出向いて行う作業のこと。訪問・面接・調査票への記入依頼・調査票の収集が含まれる。もう少し範囲を広げれば、サンプリング・あいさつ状の発送・謝礼品の準備・調査員への説明会の実施(インストラクションという)などの準備作業から、調査期間中のフォロー、回収時の調査票内容の点検といった管理面も含めていうことがある。優秀な調査員としっかりした管理が、良い実査の条件である。
 

実質所得

【real income】

貨幣の単位で表わされた、いわゆる名目所得を物価の変動で修正した所得。所得を歴年で比較し所得水準の変化をみる場合には、貨幣価値の基準を一定にしなければならない。そこで物価変動を織り込んで修正された所得が実質所得である。消費者のふところ具合をみる場合には、この実質所得の動向が重要であり、売上実績に直結する指標でもある。
ジド 自動倉庫 倉庫における荷役などの作業を自動化したもので、無人倉庫ともいう。リフトやベルトコンベアなどの自動運搬機器をコンピュータと連動させて、庫内の作業を自動化・無人化して効率を高めるが、殊に低温倉庫の自動化は、苛酷な作業から人間を解放することになる。また、在庫管理面においても人力よりも確度が高くなる。コンピュータや自動運搬機器の進歩とあいまって、今後ますます自動倉庫は普及するものと思われる。また、販売データとの連動によってより合理的な在庫管理が可能となる。
 

自動的購買高調整法

【Open to Buy Method】

OTB法ともいう。仕入れ担当者が、担当商品について、一定期間における販売・仕入れ・在庫の計画を立て、販売が計画通り実現しない場合、自動的に仕入量の減少を指示し、手持ち在庫が少なくなるようにする仕組み。OTB法は、仕入れ担当者に一定の在庫基準を与え、販売しない限り仕入れできなように仕入れすぎにブレーキをかける役割を果たしている。
  自動発注方式 コンピュータによって在庫量を常に把握しておき、在庫水準が発注すべき水準にまで減少したときに、即時に自動的にコンピュータから発注すべき品目や数量などがアウトプットされるシステムのこと。取扱い品目が多い場合、人力によって絶えず適切に発注作業を行うには相当の人手が必要であるが、この自動発注方式は、こうした人手を省き発注作業の確度を高める。さらにコンピュータ管理のため売れ筋商品の発見など、販売データの収集・作成・活用が容易となる。
ジニ ジニ係数 所得配分の隔たりを測る指数。ジニは指標を考案したイタリアの統計学者の名前。係数の範囲はゼロから1で、係数が大きいほど格差が大きい。係数ゼロは全員が同じ所得を得ており、1なら1人が全所得を独占している。0.5は上位四分の一の人で全所得の四分の三を占めている状態だ。日本のジニ係数は、6万世帯分の所得を集める総務省の「全国消費実態調査」、一万世帯から算出する厚生省の「所得再分配調査」など複数ある。厚生省調査は年収200万円未満の低所得世帯の構成比率が総務省調査より高く、ジニ係数が高く出る。
ジヤ

ジャスト・イン・タイム

【just in time】

トヨタ自動車の経営陣が米国スーパーマーケットを視察したことから発案した経営理論。スーパーマーケットが売れたものを補充発注していることから、必要なときに、必要な部品を、必要な分だけ、工程の上流からもってくればよいとする考え方。この手法がムリ・ムダ・ムラの排除になる。在庫を圧縮し、保管費を節減し、スペースの有効利用になることを目的とした在庫管理の考え方のひとつ。
ジユ

自由裁量所得

【discretionary income】

可処分所得のうち、比較的自由な支出に回せる所得。食費、住居費など家計の中から必ず支出しなければならない支出を可処分所得から差し引いた差額であり、一般的には耐久消費財購入費やレジャー・娯楽費などの支出がこの自由裁量所得から振り分けられる。自由裁量所得の使い途は消費者の自由な選択によって決定される割合が大きいだけに、マーケティング戦略にとってその支出動向はきわめて重要になる。
  自由時間 総生活時間から睡眠など必要時間、仕事など拘束時間を差し引いた、それ以外の自由に使える生活時間を自由時間と表現。余暇時間ともいう。日本人の自由時間は、増加傾向にある。労働省ではその理由として、週休二日制や夏休み制度の普及・定着、家庭電気製品の普及、調理食品の利用などによる主婦の家事の軽減、平均子供数の減少という家族構成の変化などをあげている。個性化、多様化している今日の消費者にとって、この自由時間の活用がライフスタイル形成に大きな影響力をもっており、このような個性化した消費者を対象とする小売業は、自由時間の動向に十分注意を払う必要がある。
  需要弾力性 商品の価格の変化によって需要がどの程度変化するかを示すもの。価格が上昇すれば需要が減少し、価格が下落すれば需要は拡大する。この需要の変化は商品によって異なっており、一般的に、生活必需品需要は価格の変化に対する反応が小さく(需要弾力性小)、文化品・ぜいたく品では大きい(価格弾力性大)。この変化を弾力性として、価格の変化率に対する需要の変化率を比率で係数化することができる。成熟市場といわれる今日の市場においては、需要弾力性が必ずしも仮説どおり作動しないケースもみられ、価格政策などにおいてはより慎重な検討が必要となっている。
  需要予測 将来の需要量を予測すること。企業にとっては、仕入、生産、資金、投資、販売などの、あらゆる計画や活動の基礎となる重要な作業である。商品やサービスに関連する需要要因を分析し、需要分析をもとに、市場調査や予測モデルなどよって、需要を予測する。予測年次によって、方法や目的が異なる。販売面でも、事前に需要量を予測し、それにもとづいた科学的・合理的な販売目標を設定することが重要である。テクノロジーの発展により、現在では使いやすくなったデータマイニングを活用して需要予測が可能になった。
  巡回販売 主として継続的取引関係にある顧客を定期的に訪問して販売活動をすること。この場合の販売活動はかなり幅広いものであり、顧客が小売店であれば商品の陳列方法や販売方法などの指導も含まれる。定まったルートで商品配達をしながら販売活動をするルート・セールスとは異なる。
 

準拠集団

【reference group】

個人が信念・態度・価値を決定する場合や行動指針を求める場合などに、判断の根拠を提供する社会集団のこと。準拠集団は一般に家族、友人集団などの身近な所属集団から成ることが多い。しかし、将来所属したいと思っている集団、あるいは所属していなくても強い同一性を感じている集団もまた準拠集団となりうる。個人がどの集団に準拠して行動するのかを明らかにすることによって個人の行動の理解を助け、その行動予測を可能にするという点で準拠集団概念は重要である。顧客の準拠集団を事前に調べておけば、その顧客の興味や価値観など、およそ見当がつき、セールストークに生かすことができる。
ジヨ 情報 インフォメーションを情報といっているケースが多いが、インフォメーションは広義の概念で「お知らせ」の意味で使用されることが多い。サイバネティクスの創始者であるN.ウィナーは情報をつぎのように定義している。情報とは、われわれが下界に対して自己を調節し、かつその調節行動によって下界に影響を及ぼしていく際に、下界との間で交換されるものの内容を指す言葉である。情報を受け取ることによって、われわれは環境の予知しえぬ変転に対して自己を調節し、効果的に生きていくことができる。すなわち、環境に適応するために情報が必要である。小売業にとって、POS(販売時点)情報は顧客ニーズの把握や人気・不人気商品を発見するのに貴重な情報源である。
 

情報家電

(デジタル家電)

家庭電気機器がインテリジェント化し、しだいにパソコン機能を取り込み、これまでとは異なるハイタッチなものへと革新しつつある。たとえば、テレビはデジタルテレビとなり、多チャンネルとなるばかりでなく、インターネット機能を利用したり、ファイル機能や電子書籍を利用したりするようになると予想される。このようなインテリジェント化した家庭電器を情報家電という。
  情報化社会 工業化社会の後にくる社会構造であり、情報が社会システムの中心になる社会をいう。これまでの工業化社会では物質が重要な資源となっていたが、情報化社会では情報が中心的な価値を占めるようになり、コンピュータを中心とした情報ネットワークが整備されることとなる。また産業構造も、それまでの第二次産業(製造業)中心から第三次産業、特に情報の生産・流通・販売に関わる情報産業の比重が高まり、インターネット・ショッピングや在宅勤務などの実現によって、人々の日常生活も大きな影響を受けることになる。情報テクノロジー(IT)の急速な発展により、わが国も、すでに情報化社会に入りつつあるといわれており、企業の情報化、高度情報利用が企業存続を決定づけるようになってきた。
  情報産業都市 次世代の都市型産業のひとつである情報産業を、都市活力の機軸に据える都市戦略からでてきた言葉。北米の諸都市(シリコンバレーやハリウッド)にみられる、コンテンツ産業や映像の担い手たちを受け入れる都市づくりがひとつのモデルとなる。わが国では、ソフトウェア産業や専門的なサービス産業を先導する人材が三大都市圏に集まっている。しかし、今後は地方都市に、大都市との交流を通じて、マルチメディア産業などを書くとする飛躍のチャンスが生まれる。
  情報発信基地 小売店の新しい客寄せ機能として考えられているもの。消費者の店離れ現象が続く中で、商品をこれ以上揃えても消費者を店に呼び戻す力を出し得ないが、店舗空間をエキサイティングで情報のあるものにすれば、消費者が集まることが実証されている。そこで、消費者に楽しく役に立つ情報を常に用意し発信しているような店をつくろうというもの。その内容は、商品情報の他に、ファッション、催事、音楽、レジャー、スポーツ情報などがある。今後は、来店促進目的のインターネット技術を活用し情報を提供することが急速に高まる。クリック&モルタル(WEB&店舗)戦略が自然の流れになる。
ジン 人口静態 人口やその基本属性を、特定の時点でとらえた結果のこと。人口静態についてのデータを収集するために人口調査が行なわれており、その最大のものは、5年ごとに行なわれる国勢調査である。人口静態統計は、調査人口、推計人口、夜間人口、昼間人口、常住地人口、従業地人口、出生地人口などに分けられる。この静態人口は、市場の規模を推計する基本的な数値である。
  人口動態 人間は、それぞれ人口という社会集団の中で生活しているのであるが、この人口は多くの要因によって常に変化しており、この変化の中でとらえられた人口を人口動態と呼ぶ。変化の要因は、出生・死亡による自然増減、転入・転出による社会増減、結婚・離婚による所属変化があり、これらは届出制度によって義務づけられているので、この変化をもとに人口動態統計が作成されている。販売資料としてみると、静態人口が市場の規模を推計する基礎数値であるのに対し、この人口動態は、人口の構造を示す基礎的資料となる。
 

人口に関する基本属性

(デモグラフィック要因)

マーケティングでいう基本属性は、消費行動に影響を与えるものをいう。性、年齢、所得階層が主要なものであり、他に、配偶関係、教育程度、出生地、職業、従業上の地位、支持政党など、さまざまなものがある。これらの属性は、単独に用いる場合もあれば、男女年齢別人口構成(人口ピラミッド)のように、二段階で使われる場合もある。近年の生活の多様化によって、従来の基本属性による分類だけでは消費行動などを十分に説明できなくなりつつある。
  人口ピラミッド 年齢別の男女バランスや人口の年齢構成のバランスを示す資料。年齢階層級別の男女別人口を左右に振り分け、年齢の低い順に下から重ねていくと、二等辺三角形状に棒グラフが並ぶ。この形状がピラミッドに似ていることから「人口ピラミッド」と呼ぶ。人口動態が成長期(たとえば発展途上国)にある場合は典型的な「ピラミッド型」になるが、高齢化の進んだ先進国の場合は「つり鐘型」「茶筒型」となる。日本は「つり鐘型」へと急速な変化を示している。今後の販売政策は、「つり鐘型」という人口ピラミッドが示す社会の高齢化傾向を見通したものでなければならない。
 

人的販売

【personal selling】

店頭での商品陳列を中心にした販売方法に対し、販売員やセールスマンが商品の特性や効用をお客に説明し、説得することによって売り込む販売方法。訪問販売などは、人的販売の典型的なものであり、セールスマンの販売技術水準がきめ手となるため、セールスマン教育が重視される。