食品売場の基本行動 「3つのC」「8つのC」
 

2−1.一つのC クレンリネス(Cleanliness)
クレンリネスは清掃されていること、清潔であることです。クレンリネスはスーパーマーケット経営の大原則です。
商品にほこりがない。陳列棚は汚れていない。POPは汚れていない。汚れていたりホコリがあったりすると、視覚
や触覚に最悪な印象をもたらします。「触りたくない」とか「汚い」「不衛生だ」という印象を与えることになり、その
印象があなたの店の印象となり、買い物しなくなります。買い物に来て、気分を害し、店を出ます。その気分を
お友達にも大きな声で語ります。マイナスの口コミです。マイナスの口コミは時速100キロ以上と言われています。
悪いうわさは素早く伝わるのです。

2−1−1.「清掃」の定義
清掃とは、汚れやほこりを十分に取り去ることです。毎日、毎時間、清掃を心がけなくてはなりません。しかし、
なかなか出来ないのが現実ではないでしょうか? 習慣にならないと毎日清掃することができません。なかなか
できない理由の一つに、清掃用具がすぐそばにないことが原因です。清掃用具をふんだんに、すぐ取り出せる
ところに準備しておきましょう。

2−1−2.「清潔」の定義
清潔とは、清潔な状態を守り、維持することです。清潔な状態を守れない理由を考えてみましょう。不潔は
「結果」です。結果には「原因」があります。原因があって結果になるのです。清掃用具が準備されていないと
いうのはひとつの原因ですが、その原因の元になる原因があります。原因を辿って行くと「掃除する気持ちがな
い」というところに到達します。掃除する気持ちがないことが原因となって、清掃用具な準備されておらず、清掃
しないので、清潔が維持できません。

2−2.2つ目のC コンビニエンス(Convenience)
コンビニエンスは便利であることです。「時間節約」できて便利、「距離」が近くて便利、「駐輪・駐車」が広くて
便利、品揃えが豊富で「ワンストップショピング」ができて便利、整理整頓が行き届いていて「買いやすくて」便利、通路が広くて買いやすいので便利、健康によい商品が品揃えされていて便利などがコンビニエンスです。

2−2−1.便利な売場@ 「時間節約」できる売場
夕食が素早く準備できる、素早く喜んでもらえるお弁当の準備ができる、わずかな時間で本格メニューで食卓
が準備できる、と言った商品の販売を十分に検討し品揃えしましょう。顧客が最も嫌うことはレジの待ち時間です。
どこよりも早いチェックアウト時間であればその店は人気になります。30秒前後ならとても嬉しくなります。ところが
3分もかかるチェックアウトに遭遇することが結構あります。
某スーパー、4台あるチェックアウト一人だけ対応していて、15人並んでいます。チェックアウトまで3分かかりました。時給を1500円とすると3分で75円の損失。15人のお客様だったのでお客様に1125円の損失を与えていた事に
なります。お客様の時間泥棒になるとその店を避けるようになります。
駐輪・駐車が入口近くにすぐ停められるのも時間節約です。毎日、お客様の「時間節約」便利を追求します。

2−2−2.便利な売場A 「買いたい商品がすぐに見つかる」売場
「なんでもたくさんおいていることが便利でしょうか?」。それとも「買いたいと思っている商品がすぐ見つかるのが
便利なのでしょうか?」。これは、トレードオフの関係です。 
たくさんおいてあれば欲しいものは見つかるかも知れませんが見つかるまで時間がかかってしまいます。見つけや
すいように商品を絞り込んでいれば欲しい商品がなかったりするかもしれませんが時間はかかりません。どちらを
選択するかは会社政策の選択です。
コロンビア大学のスーパーマーケットの実験報告を「深く」考えてみましょう。
ジャム売場、24種類の品揃えと6種類の品揃えの実験をしました。24種類の品揃えは立ち止まった顧客は多
かったのですが、購入した顧客は24種類ジャム実験売場が3%、6種類ジャム実験売場は30%だったそうです。
6種類のジャム売場のほうが10倍売れました。この実験は何を物語っているのでしょうか? 

2−2−3.便利な売場B 「欠品がない」売場
欠品はお客様がいちばん不満を感じることです。「買いに来た商品が品切れしていた」。限られた時間、急い
でやってきたのに「品切れ」。最悪の気分。「今日は運が悪い日だ」という気分にさせてしまいます。「代替え品
では満足できません」。それがお客様感情です。品切れはお店の利益の消失でもあります。

2−2−4.便利な売場C 「関連陳列されている
通常、売場は商品系列による陳列を実施しています。野菜、果物、鮮魚、精肉、塩干、和日配、洋日配
など。これは食材別の陳列です。メニュー関連の陳列ではありません。メニューとは「カレー」などです。カレーを
料理するにはじゃがいも、人参、玉ねぎ、お肉、カレールーが必要です。これらの食材が近くに陳列されていれ
ば買い物時間が少なくでき、買い忘れもなく便利です。

2−2−5.便利な売場D 「季節商品の早い品揃え」
テレビでさんまの水揚げのニュースを見ます。さんまの水揚げは釧路から始まり、函館、宮古、大船度と北海
道から東北を下って来ます。そのニュースを見て「今晩の夕食はさんまにしよう」と気分も新たにニコニコとスーパ
ーマーケットに出向きます。お父さんや子供さんの喜ぶ姿を思いながらさんまを探します。ありません。まだ陳列
されていません。諦めて別の商品を買います。気分は不愉快。「この店は季節商品の陳列は遅いんだ」という
印象を与え、それがお店の印象になってしまいます。

2−3.3つ目のC コスト・コントロール(Cost control)
皆さんの給与は売上ではありません。給与は利益から出します。昇給していただくためには、年々、利益を成
長させていかなくてはなりません。そのためには売上のみならず経費などコストの管理能力を高めていかなけれ
ばなりません。
少し、1万円札を例として「利益の構造」を考えてみましょう。
お客様から1万円の商品を買っていただき、1万円札を頂きました。この1万円が100%利益ではありません。
1万円札の75%は商品原価で取引先へ支払いする金額です。残りの25%が経費と利益です。6%が人件費、
さらに6%が水道光熱費、3%は販売促進費、5%が家賃、この経費合計は20%です。残りの5%が利益です。
経費を5%削減すると利益は10%になります。レジの引き出しに入った1万円札の端っこが会社の利益です。