流通再生戦略
 
第1章 小売業の原点−マーチャンダイジング
 
調達マーチャンダイジングとセレクト・マーチャンダイジング
 
  学者の定義をもう少し現実論に落としてみる。

マーチャンダイジングは、「調達マーチャンダイジング」と「セレクト(選択・選別)マーチャンダイジング」の二つに区別して考える必要がある。

調達マーチャンダイジングとは、生産者から卸売業(あるいは一次問屋・2次問屋、特約店・販売店など)、卸売業から小売業という商品流通チャネル全体の構造を正しく理解し、相互に協力し、効率のよい商品流通体系をつくり上げることである。生産者だけ得するとか、卸売業だけ損をするとか、小売業者だけ得するとか、そのような不合理がないように相互協力してチャネルの合理性を追求することが調達マーチャンダイジングのコンセプトである。サプライ・チェーン・マネジメント(SCR)の概念そのものである。

セレクト(選択・選別)マーチャンダイジングとは、メーカーや卸売業で、すでに商品化され市場に提供されている在庫のなかから、自社すなわちターゲットとする顧客に適切と思われる商品を選定する活動のことで、別名、バイイング活動といわれる。

わが国小売業界では、この商品選択・選別をマーチャンダイジングといっている。

マーチャンダイズという言葉には、商品性、市場流通性(マーケッタビリティ)という意味がある。より強い市場流通性、強い販売力を確保するためには商品力が最も重要な要因になる。

小売業は業態を販売しているのではなく付帯サービスを販売しているのでもない。販売の根幹は商品そのものである。商品が2流、3流なら店も2流、3流でしかない。企業が超有名な大手であっても商品が2流なら販売力が徐々に失われ、市場から抹殺されかねない。現在、一部の大手量販店が苦しんでいるのは、マーチャンダイジングのプロを育成しなかったことに原因がある。

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